Human Experience

公開日:2019.03.12

「働き方改革関連法」でサテライトオフィス需要が高まる

2019年4月1日より「働き方改革関連法」が順次施行されます。8つの労働法が一度に改正されますが、ワークプレイスに関する重要ポイントは「時間外労働の上限規制」といえそうです。労働時間を抑制することで生産性が落ち、業績が悪化する可能性があるからです。重要なのは労働時間あたりの生産性を高めることですが、組織体制を変更してもうまく機能するまでに時間がかかります。そうした中、注目されるのが外部貸しのサテライトオフィスでしょう。「無駄な労働時間」の最たるものである「移動時間」の削減に大きく貢献してくれます。働く場所の選択肢を増やし、「働き方改革」にも寄与するサテライトオフィスを活用する企業は今後ますます増えていくことが予想されます。

「働き方改革」を推進する法改正が始動

 

働き方改革関連法における主な改正ポイントは3点あります。

1点目は「時間外労働の上限規制の導入」で、2019年4月1日から始まります。時間外労働の上限について月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)が限度になります。ちなみに、中小企業は2020年4月1日より導入となり、自動車運転業務や建設事業、医師については2024年4月1日からの導入が予定されています。

2点目は「年次有給休暇の確実な取得」で、こちらも2019年4月1日から開始。10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対して、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要があります。これまでは労働者が自ら有給休暇を申請していましたが、同僚が有休を取らずにバリバリ働いている中で自分だけ申請しにくい等の課題があり、年次有休休暇の平均取得率は49.4%(厚生労働省:平成29年就労条件総合調査)に留まっていました。今後は使用者が労働者に対して取得時季の希望をヒアリングし、労働者の希望を踏まえて年5日の有休取得を与えることになります。

3点目は「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」です。同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な待遇差が禁止されます。こちらは2020年4月1日から(中小企業は2021年4月1日から)の施行となります。

その他、勤務間インターバル制度の導入促進、フレックスタイム制の拡充、高度プロフェッショナル制度の導入、月60時間超残業に対する割増賃金率の引き上げ等も実施されます。

 

時間外労働の上限が規制され、生産性向上が喫緊の課題に

働き方改革関連法の内容を見てみると、企業にとって喫緊の課題となるのが「時間外労働の上限規制の導入」ではないでしょうか。これまでは労使協定(36協定)を結ぶことで労働基準法に定められた労働時間「1日8時間、週40時間」を延長が認められました。ちなみに時間外労働の上限は厚生労働大臣の告示によって「月45時間、年360時間」と定められていますが、罰則規定がありませんでした。これに対して、今回の法改正では、労働時間の上限が定められ、違反すると6カ月以下の懲役か、30万円以下の罰金が科せられることになりました。罰則そのものよりも、これに違反したことによる企業イメージの棄損が最も大きなダメージとなりそうです。人手不足が進む現在の日本において、こうしたマイナスイメージが伝播することで優秀な人材を確保するのは更に難しくなるからです。

労働時間の上限が設けられましたが、企業はこれまで同様か、それ以上の成果を出さなくてはならず、喫緊の課題として「生産性向上」を実現しなくてはなりません。

 

サテライトオフィスで「移動時間」の無駄をなくす

ただし、短期間で生産性をいかに向上させるか悩みどころです。従業員一人一人のスキルアップを待っていては相当の時間がかかりますし、チーム体制等を変更してもすぐに機能するとは限りません。そうした中、即効性があるのは「従業員の労働時間の中で無駄を省く」ことでしょう。

時間の無駄といってすぐに思いつくのが「移動時間」です。郊外にある営業先に1日中営業していた担当者が営業報告書を作成・提出するだけのために都心の本社オフィスまでわざわざ戻るのは非効率と言わざるをえません。よくあるのは、1日に数件営業先に訪問する際、訪問時間の隙間時間をカフェ等で待機している営業マンの姿(さぼっているように見えますが…)をよく見かけます。

こうした中、最近になって多くの企業が利用し始めたのがサテライトオフィスです。これは本社オフィスとは別に、居住エリア等の郊外近くにまで用意した小規模オフィスで働くことができるワークスタイルです。Wi-Fi完備のカフェ等でノートパソコンを開いて仕事をしている方も見かけますが、機密性の高い仕事をするのは難しい。けれども外部貸しのサテライトオフィスはほとんどの施設で高度な情報セキュリティと半個室のデスクが完備されています。

サテライトオフィスを活用することで郊外から都心の本社までの通勤時間を大幅に短縮し、その分を業務時間に充てることで効率的に仕事ができます。元々は、企業が自ら郊外にサテライトオフィスを開設していましたが、賃料や内装設備の費用負担が重いのがネックでした。しかし、現在は大手不動産会社や鉄道会社が外部貸しに特化したサテライトオフィスを次々と開設しています。

 

JLLもサテライトオフィスを利用

実はJLLでも2018年1月から外部貸しのサテライトオフィスを本格的に利用しています。当初1カ月の合計利用時間は313時間でしたが、2月以降から急伸。想定していた合計利用時間を大幅に上回る結果となりました。利用者の属性は外回りの営業担当者が中心ですが、ビジネスプランを企画・立案するなど、集中して業務に取り組みたい管理クラスや、誰にも邪魔されずプログラムコードを作成したいIT担当者なども積極的に利用しています。通常のオフィスにいると、他のスタッフから声をかけられるたびに集中力が途切れますが、静かな環境で働けるため、短期集中型の業務に適していると好評です。

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