Human Experience

公開日:2019.02.26

米国で増え始めたペット同伴オフィスだが日本ではハードルが高い

GoogleやAmazon、Salesforce.comなど、米国の大手IT企業ではオフィスへのペット同伴を解禁しており、その取り組みは少しずつではありますが確実に定着しているそうですが、その目的は「従業員の福利厚生」とのこと。これもワークプレイスにおける「働き方改革」の一環といえそうですが、これが賃貸オフィスで実現するとなると実現までに険しい道のりが待っているのです。

日本ではネコを飼育するITベンチャーが存在する

米国の学術誌「インターナショナル・ジャーナル・オブ・ワークプレイス・ヘルス」に掲載された研究では、飼い主以外の従業員もペットがオフィスにいることで仕事に対する満足感が向上したとの報告があるように、オフィスでペットと共棲することは従業員のメンタルヘルスに好影響を及ぼし、仕事の満足度を高める効果があるそうです。米国ではペットをオフィス内に連れていくことを認めている企業の割合ですが2013年は5%でしたが、2015年には8%に増加。少しずつではありますが、米国のオフィスでペットの姿を見かける機会は増えているようです。

一方、日本のオフィスにおけるペット事情はどうでしょうか。「ペット オフィス 飼育」等のキーワードでネット検索すると、意外にも多くのニュースがヒットします。特に目立つのがネコを飼育する事例で、ウェブニュースでも相当数が取り上げられています。一例としてウェブ広告のコンサルティングを手掛けるIT企業O社ではオフィス内でネコを飼育しており、マスコットキャラクターとして人気を博しているとのこと。同じくウェブ制作等を手掛けるITベンチャーF社はネコ関連の社内制度を充実させ、業務時間内にも関わらずオフィスでネコを放し飼いにしている様子が窺えます。

オフィス内を気ままに闊歩するネコの姿を見るだけで心がなごみ、従業員同士のコミュニケーションが円滑になる等、社内の雰囲気を和らげる効果があります。また、ネコを飼育している様子をSNSで積極的に発信することで「ネコと働ける会社」として認知度を高めることで、人材採用時にも一定の効果があるとのことです。

 

賃貸オフィスでは認められない

しかしながら、自社保有のオフィスならばネコを飼うのはビル保有会社の自由ですが、賃貸オフィスだと話は別です。ビルオーナー・管理会社にとってビル管理上、ネコはありがたくない存在だからです。マンション等の居住用不動産でも同様なのですが、騒音やニオイ、そして「ネコ嫌い(ネコアレルギー)」の問題が考えられ、他の在館者に迷惑がかかることが危惧するためなのです。

では、前述したIT企業のようにネコの飼育が賃貸ビルで実現した理由はどうしてでしょうか。ネコを飼育している日系企業を取材したことがある不動産専門紙の記者によると「ビルオーナーがネコ好きかつ、他のテナントとエレベーター等の動線が異なる等の条件が揃っており、なおかつリスク要因をすべて解消することが重要」と教えてくれました。

 

他の入居者の迷惑をかけない対策が必要

対応策としては「他のテナントに迷惑をかけるのでは」と危惧するビルオーナーや管理会社に対して、テナント側から対策を示すことだそうです。ポイントとなるのは、不特定多数(ネコアレルギーの方が含まれる可能性が高い)が利用するエレベーターや1階エントランスといった共用部にネコが立ち入らないように、専有部内に飼育スペースを設けたり、ネコの飼育数を固定し、毛色やサイズ、呼び名など、飼育するネコのデータをまとめた報告書を提出し、管理側に飼育ネコが特定しやすいように配慮する等の各種対策を遵守することが必要です。またエレベーターは入居者用ではなく、荷物搬入用を利用したり、移動時にネコの姿が人目に触れないようにゲージにカバーをすることも考えられます。

ただし、注意したいのはこうした対応策を提案してもオーナー・管理会社の理解を得るのは相当に難しいことと、飼育スペースの造作工事に多額の費用がかかり、移転前に想定していた予算をオーバーする可能性が高いということです。これらを踏まえて、「ネコを飼う=心の癒し」に相応分のメリットがあるかどうかを吟味しなくてはならないでしょう。

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