Human Experience

公開日:2019.08.06

オフィス家具が人財を惹きつける

仕掛けのある奇抜なものから純粋に機能的なものまで、今日のオフィス家具は実に多種多様だ。企業がどんな家具のデザインを選択するかでオフィスの雰囲気や従業員の生産性が変わるだけでなく、企業ブランドの視覚的な印象をも左右する時代が到来している。

オフィス家具が企業イメージを体現する

家具の色彩やデザインの選択に試行錯誤しているのはテック系企業やクリエイティブ関連企業だけではない。スタンディングデスク、ビーンバッグチェア、豊富な観葉植物などをオフィスに備える専門サービス企業や金融サービス企業が増加しているのだ。

JLLの子会社であるTétris UK インテリアデザインチーム リーダー ニール・トーマスは「ハンモックやデッキチェアは共有エリアで話題になるかもしれないが、家具は実行中のタスクをサポートし反映するものにする必要がある。明るく活気のある職場を提供できるか否かで、その企業の人材を引きつける力が大きく変わる。特に若いスタッフを雇用する会社は大きな影響を受け、また外部訪問者が抱くイメージにも大きな影響を与える。家具は興味を惹きつけるものであり、企業のカラーやイメージを醸し出すことが可能だ。技術と調和して環境を変えるべき」と提唱する。

しかし、スペースを最適化し、全体のデスク数を減らそうとする企業では、オフィス周辺で使う家具の種類が有形コストと間接コスト両方と関係するようになる。家具は、備品支出全体の10%-25%を占める場合がある。加えて、かつてないほど選択肢が増えている。ドイツのオンライン統計会社のStatistaは「コンピューターデスクやスイベルチェア、職場のストレージユニットを含む世界のオフィス家具市場は成長を続けており、2021年までには企業がオフィス家具に840億米ドルをオフィス家具に費やす」と予想している。

トーマスは「オフィス家具の適切な組み合わせはそれ自体が投資だ」と述べているが、デザインのトレンドが移り変わる中で、本当に大切なことはデスクや椅子といった必需品が従業員のニーズを満たし、利用できるスペースを最大限に活用するということに他ならない。トーマスは「企業はどのタイプの家具が従業員の日々の活動を最も良くサポートするかを評価すべきだ。雇用主は従業員を信頼し、彼らがいつも机に向かって仕事をしなくてもよいのだということを認めるべきだ」と指摘する。

企業は利益を最大化する目的で使用しないにもかかわらず、スタンディングデスクのようなデザインに目を奪われるリスクがある。トーマスは「スタンディングデスクは結局、座る時にしか使われず、意図した目的を果たさないだろう。今は空間を使わず、導入するシステムを予約しておく時期かもしれない」との見解を示す

生産性を高める

共同作業あるいは個人作業向けに良質な空間を創出することで、生産性を向上させることができる。トーマスは「オフィスで家具をまったく使用しないことさえも、特定の状況では役立つだろう。社内のチームミーティングを例にしたい。1つのチームが着席せずに立ってミーティングをする場合、週1回のミーティングを30分で切り上げることができる。生産性の改善要素となると同時に、椅子の削減で若干のコスト節減にも繋がる」と説明する。

さらに、観葉植物や壁面緑化にも役割がある。数多くの研究では植物や木などの自然要素を持つ環境で働く人々は生産性と幸福度が高いことが分かっている。

トーマスは「窓のそばの机上に植物を置くだけのことではない。観葉植物などは作業エリアの間仕切りとして使える一方で、ロビーをカラフルにしたり、第一印象を良くすることができる」とバイオフィリックオフィスデザインのコンセプトについて指摘する。

多機能スペースが創造力を刺激

内装などの予算が限られている企業では、同じ家具をさまざまな目的で使う方法をクリエイティブに考える必要がありる。例えば、キッチン家具は適切なデザインのものであれば社内会議にも使うことができる。

ただし、社内会議ではうまくいくものも顧客と向き合うエリアではそうはいかない場合が多くある。トーマスは「顧客エリアに指定された場所では家具はミーティングの場に相応しく構成されるべきだ」と述べる。

一方、企業が社内エリアでスタイリッシュさを誇示してはいけないというわけではない。トーマスは「顧客が訪問中にただ1つの椅子に座り、5階建て建物の1部屋しか見ない場合、その企業に対するイメージは限定的なものになるだろう。顧客にスタイリッシュな社内エリアを見せた場合は、その体験が記憶に残り、見込み客の発掘につながるだろう」と付け加えた。また、簡単に移動できる家具があれば、企業が定期的な社内外のイベントを開催する際に助けとなるだろう。

トーマスによると「オフィスが正しく構成され、家具がそれほど厳格に配置されていない場合、四半期ごとのアップデートミーティングやイブニングプレゼンテーションを社内で開催することができる」という。1年を通すとかなりのコスト削減を実現できるのだ。

家具がどのようにオフィス内に配置されようとも、従業員がプライバシーを確保し、仕事を遂行するために必要な個人的なスペースを持つことが重要だ。また、現代のオフィスでは、設計上の選択肢として最大限の接続性を確保するための技術と配線に対応する必要がある。

トーマスは「今日のオフィス空間は見栄えするが、企業や従業員がそれを最大限に活用するには何よりも目的に見合っていなければならない」と力を込める。仕事の質が進化するにつれて、オフィス家具はそれと歩調を合わせて変化する。ただし、良質な机、しっかりした椅子、快適な休憩エリアなどの「必需品」は依然として不可欠なデザイン要素となるのだ。

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