Human Experience

公開日:2019.09.26

ワークプレイス戦略における日本企業の7つの特性

働き方の変化が企業の不動産戦略に与える影響を分析したJLLのレポート「Future of Work」から、ワークプレイス戦略に対する日本企業の7つの特徴が浮き彫りになった。現段階では保守的な考えが見られるものの、多くの日本企業はワークプレイス戦略の必要性を前向きに捉えており、その傾向は前回2015年の調査と比較しても明らかだ。

経営環境の変化が日本企業の考えを変える

JLLではワークプレイス戦略についてグローバルで企業アンケートを実施。その結果を隔年で発表してきた。新たに発行した2019年版ではグローバル企業の回答数561件、日本企業の回答数40件を数えた。回答結果をもとに日本企業の特性分析を行ったところ、下記のように7つの特徴が浮き彫りになった。

ワークプレイス戦略を重視

①     CRE(企業不動産)部門と他の事業機能の協働が進展
アンケートに回答した国の中で、日本はC-Suite(経営層)や財務部門とワークプレイス戦略を担当するCRE部門が高度に統合された数少ない国の1つであることが判明した。事業目標の達成に向けて将来的にはITや人事部との関係強化の意向が強く見られた。

②     日本企業はCREサービスのアウトソースに保守的
CREサービスにアウトソースを活用する日本企業はわずか32%。調査対象国の中でも下位に低迷している。しかし同時に、日本企業は伝統的なCREサービスと新しいCREサービスを組み合わせてアウトソースしている唯一の国であることが判明した。他国は伝統的CREサービスのみをアウトソースする事例が大半だった。

③     日本企業のCREは将来のテクノロジー採用志向が強い
アンケートに回答したすべての国と比較した結果、日本企業のCREは現段階ではテクノロジーへの投資に慎重だが、IT部門との協力強化や将来的なアウトソース化の意向は強い。

④     イノベーションで優位に立つためCREを活用したいという願望
日本企業のCRE担当者は、CREが企業のイノベーション創発に寄与し、企業価値に付加価値をもたらせることに確信を持っている。CREによるイノベーション促進の主な戦略として「社内の能力強化」と「外部との協創」が挙げられる。

⑤     ヒューマン・エクスペリエンスが重要性と注目度を増す
日本のCRE担当者はヒューマン・エクスペリエンスに付加価値を加えられると確信しており、ワークプレイスと従業員の働き方を核としてイノベーションを促進したいと考えている。

⑥     フレキシブルスペースへの需要増加が継続
グローバル平均の回答率31%を若干下回るが、日本企業は2020年末までにフレキシブルスペースがポートフォリオの4分の1まで拡大すると予想。政府主導の「働き方改革」を追い風に、フレキシブルスペースへの注目度が高まっている。

⑦     イノベーションに関する指標が将来的なCRE業績指標の主流へ
日本企業のCRE業績指標の採用においてグローバル平均に比べて遅れている(日本20%、グローバル平均31%)。しかし、日本企業のイノベーション重視の姿勢を鮮明にしており、現在採用されている3指標の1つに「イノベーション・スペースの活用」が含まれている。

2015年と比較すると日本企業の意識は大きく変化

本レポートでは2018年度における日本企業とグローバル企業の比較分析にフォーカスしているが、過去と比較しても日本企業の考え方は大きく変化していることがわかる。

JLLが2015年7月に発表した「日本企業のCRE推進に関する調査/日本企業CREインデックス」のよると、当時の日本企業は経営層がCRE部門へ要求しているのは「コスト削減」で、回答割合は実に82%に及んだ。その半面「柔軟な働き方(モバイル、フリーアドレス導入など)を実現する」といった働きやすさを重視する要求に対して回答割合は31%に留まる。グローバル平均の62%に比べて圧倒的に低い数値となった。2015年当時はワークプレイスを含めたCRE部門が「コストセンター」との認識が広く浸透していたといえるだろう。

一方、前述した通り、現在の日本企業はワークプレイス戦略を非常に前向きに捉えていることが窺える。上記7つの特性のうち⑤や⑥が重視され始めたことがその証拠といえる。少子化による労働人口減に直面する中で、コストが掛かっても生産性の向上や働きやすさを提供するワークプレイス戦略が人材獲得における優位性、労働生産性の向上に寄与し、結果的に企業の長期的利益の向上を実現するといった認識が、日本企業の間で広く周知されたのではないだろうか。

ワークプレイス戦略に対して問題意識を持つようになった日本企業。「Future Fit企業」を目指し着実に歩みを進めているようだ。

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